入院から10日ほど経って、S君の家族は第1回目の医療費の請求を受けました。
両親から、医療費の請求書とお金を預かって病院の会計窓口に支払いに行ったS君。ふと領収書を見ると、点数がたくさん記入されています。「この点数は何だろう?」「医療費はどんなしくみになってるの?」 次々に疑問が浮かぶS君でした。
医療費の項目には、大きく分けて「保険」と「保険外」があります。
「保険」は医療保険の対象になるもので、2つに分けられます。1つは入院や検査、治療など医療に関するもの(診療報酬)で、「点」で示されています。もう1つは食事・生活療養費で「円」で示されています。
「保険外」は、医療保険が適用されないものです。
窓口で私たちが支払う費用は、医療費の一部負担金と食事・生活療養の負担金、そして保険外があればその費用を加えた合計です。
窓口で支払う医療費の内訳は
保険
医療費の一部負担金
食事・生活療養負担金
保険外
保険外併用療養費など
* 確定申告の医療費控除などに必要となりますから、医療費の領収書及び明細書は必ず大切に保管しましょう。
医療費は、内容と料金が細かく点数化されています。
金額は1点を10円として計算します。
医療費の一部負担金は、加入している医療保険や年齢によって割合が異なります。Sくんの祖母は67歳ですから医療費の患者負担割合は3割で、医療費の合計点数×10円×3割(高額療養費の基準額以下の場合)で計算されます。
義務教育就学前 (6歳・3月まで) |
2割 東京都では「乳幼児医療費の助成(マル乳)」で自己負担なし。 |
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義務教育就学児 (6歳・4月~15歳・3月) |
3割 東京都では「義務教育就学児医療費の助成(マル子)」で医療費を助成。 |
15歳・4月~18歳・3月 | 3割 東京都では「高校生等医療費の助成(マル青(あお))」で医療費を助成。 |
18歳・4月~70歳 | 3割 |
70歳~74歳 | 2割 (現役並所得者は3割) |
75歳以上(後期高齢者医療制度) | 1割 (一定額以上所得者は2割、現役並所得者は3割) |
医療費は、内容と料金が細かく点数化されています。
金額は1点を10円として計算します。
医療費の一部負担金は、加入している医療保険や年齢によって割合が異なります。Sくんの
祖母は67歳ですから医療費の患者負担割合は3割で、医療費の合計点数×10円×3割(高
額療養費の基準額以下の場合)で計算されます。
※:詳しい内容や手続きはご自分の医療保険の担当窓口にお問い合わせ下さい。
入院時食事療養費
入院中の食事にかかる料金です。
東京都保健医療局ホームページ「入院時食事療養費」
入院時生活療養費
療養病床に長期間入院している65歳以上の人は、入院時食事療養費ではなく、入院時生活療養費(食費+居住費)の該当となります。
※ どちらも、住民税非課税世帯には減額制度があります。利用には、区市町村に申請が必要です。
医療保険では、原則として医療保険が適用されない保険外診療があると、医療保険が適用される診療も含めて全額が自己負担となります。
しかし、次のものについては、医療保険が適用されない部分の費用は自己負担となりますが、医療保険が適用される部分(診察・検査・投薬・入院料など通常の診療と共通する部分)の費用は一般の保険診療と同様に一部負担金を支払うしくみとなっています。
選定療養
患者の選択に基づくもので、代表的なものとして「差額ベッド代」があります。
・差額ベッド代(特別の療養環境の提供)
個室などを患者が希望すると、医療機関が定めた額を負担しなければなりません。
※「治療上の必要」で差額ベッド代の対象となる病室へ入院した場合など、差額ベッド代を負担しなくてもよい場合があります。
・その他のもの
制限回数を超える医療行為、予約診療(病院の都合による場合は除く)など
評価療養
医療保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供をはかる観点から評価を行うもので、以下のものがあります。
・ 先進医療、医薬品や医療機器の治験に関わる診療など
高額な医療費がかかったら
入院や手術ともなれば、医療費の自己負担額が高額になることもあります。しかし、自己負担額のうち一定額を超えた分は医療保険から支払われます。
この制度を利用し、ひと月の医療機関等の窓口における支払額を一定額にとどめるには、あらかじめ加入している医療保険の保険者の承認が必要です。
また、医療保険及び介護保険の自己負担の合計額が著しく高額になる場合に負担を軽減する仕組みもあります。(高額医療・高額介護合算療養費制度)
詳しくは加入している医療保険の担当窓口におたずねください。
【参考】厚生労働省ホームページ「高額療養費制度を利用される皆様へ」
国民医療費の総額(推計)は、令和2年度で約43兆円となっています。これは、国民1人当たり年間で約34万円を支払ったことになります。今後、医療の高度化や高齢者の増加等により、国民医療費の増加が予想されます。
わが国では、病気やケガをしたとき、みんなが安心して医療を受けられるように、下の表の公的医療保険のいずれかに、被保険者またはその扶養家族として、すべての人が加入することになっています。
そして保険料(税)を納めることで、病気やケガをしたときには、医療費の一部を支払うだけで診療などを受けることができます。これを国民皆保険制度といいます。
自営業者など
○国民健康保険
農業者、自営業者等や退職などにより健康保険等をやめた人等が加入(被保険者)
区市町村が運営(保険者)
サラリーマン、公務員など
○被用者保険
健康保険
・組合管掌健康保険
大手企業などの従業員とその家族が加入(被保険者)
健康保険組合が運営(保険者)
・全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
主に中小の企業の従業員とその家族が加入(被保険者)
全国健康保険協会が運営(保険者)
共済組合
国や地方公共団体の公務員等とその家族が加入(被保険者)
共済組合が運営(保険者)
75歳以上の自営業者サラリーマン、公務員など
○後期高齢者医療制度
75歳以上の人が対象(65歳以上で一定の障害があると認定された方を含む)
他の医療保険とは独立した保険として運営
都道府県単位で全区市町村が加入する団体(広域連合)が運営(保険料は、各区市町村が徴収)