乳がん
1 乳がんとは?
乳房には乳腺(母乳をつくる小葉や母乳の通り道となる乳管からできています)がたくさんあり、乳がんはこの乳腺にできる悪性腫瘍(悪性のできもの)です。
乳がんは、高齢になるほど増加する他のがんとは異なり、40歳代から50歳代の比較的若い世代に多いことが特徴です。
乳がんが乳管、小葉の中にとどまっている状態を「非浸潤がん」と呼び、この段階であれば転移や再発する危険はほとんどありません。一方、がん細胞が乳管や小葉を越えて周りの組織に広がったものを「浸潤がん」と呼び、転移や再発の危険性を伴います。しこりとして触れる乳がんの多くは「浸潤がん」です。
2 乳がんのリスクファクター(危険因子)
乳がんの発生に深く関わっているのが、女性ホルモンのエストロゲンです。
具体的な危険因子としては、
(1)初潮年齢が早い、閉経が遅い
(2)初産年齢が高い、出産経験がない、授乳経験がない
(3)血縁者(特に母・姉妹・娘)に乳がんになった人がいる
(4)閉経後の肥満
(5)飲酒、喫煙、運動不足といった生活習慣
があげられます。ただし、上記に当てはまる人が必ず乳がんになるわけではありませんし、当てはまらない人でも乳がんになる可能性あります。
3 乳がんの予防法
定期的に乳がん検診を受けることがとても大切です。40歳以上の人は、2年に1回、乳がん検診を受けましょう。要精密検査となった場合は、必ず精密検査を受診してください。
また、検診に加えて、普段から自分の乳房をチェックする習慣をつけましょう。乳がんを見つけようという意識ではなく、自分の乳房の感じや月経周期による変化(月経前に乳房の張りを感じ、月経後半には張り感が減少していきます)を知っておくことが重要です。これをブレスト・アウェアネスといいます。
触る方の腕を上げ、もう片方の手の親指以外の4本の指をそろえてふくらみのある部分を十分に触ってください。その時に乳房を指で強くつまんだりしないようにしてください。最後に、乳首を軽くつまんで血のような分泌物が出てこないかを確認してみましょう。また、鏡を見て、乳房のひきつれやくぼみなどの変化がないかも確認しましょう。仰向けに寝た姿勢や、お風呂に入ったときに石けんのついた手で触るとわかりやすくなります。
普段の自分の乳房の状態を知ることで、小さな変化に気づきやすくなります。乳房に変化を感じた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
その他自分でできることとしては、飲酒や喫煙を控えること、閉経後の肥満に気をつけることが挙げられます。
4 乳がん検診の実施内容等
乳がん検診では、質問(問診)、マンモグラフィ検査(乳房エックス線検査)を行います。
マンモグラフィ検査では、乳房専用のエックス線装置で、左右の乳房を片方ずつ挟み、乳房を圧迫して平坦にしてエックス線写真を撮ります。
乳がんは、自分で乳房をチェックすることで見つけられる場合もありますが、小さながんはしこりとして触れません。乳がんは早期のうちに治療すれば、10年後の相対生存率は90%以上です。
自覚症状がなくても、定期的に検診を受診することが大切です。
5 乳がん検診受診時の注意点
検診では、初潮年齢、最終月経、出産・授乳歴、閉経後の人は閉経年齢、家族内に乳がんの人がいるかを聞かれますので、確認しておきましょう。
マンモグラフィによる検診は乳房が張っているときには痛みを感じやすいので、月経前1週間を避けるとよいでしょう。
「乳がん検診体験記」はこちら
このページの担当は
保健政策部 健康推進課 成人保健担当
です。