食品の安全
東京都では、食の安全を確保するため、食品中の病原微生物・寄生虫・残留動物用医薬品等に関する調査研究や監視指導を実施しています。
- ・サルモネラ対策
- ・畜水産物に寄生する病原寄生虫のリスク評価
- ・畜産食品中コリスチンの分析法開発と残留実態調査
- ・食肉中アミノグリコシド系抗生物質の新規試験法開発
- ・魚介類中水産用医薬品(色素系殺菌剤)の試験法開発
サルモネラ対策
〇サルモネラ対策
- サルモネラは動物の腸管や河川・下水道等の自然界に広く生息する細菌で、サルモネラによる食中毒は、加熱不足の卵、肉、魚料理等が原因になりやすいとされています。
- 都では、生食する機会の多い鶏卵の安全性確保のため、鶏舎内や鶏卵のサルモネラの有無を検査し、生産段階におけるサルモネラ汚染状況を把握し、養鶏場内の消毒等の対策を指導しています。
産業労働局
鶏舎内の拭き取り検査の様子
養鶏場向け普及啓発資料
畜水産物に寄生する病原寄生虫のリスク評価
〇畜水産物の喫食による健康被害のリスクがある病原寄生虫の遺伝子解析
近年、商業捕鯨の再開により、冷凍工程のないクジラ肉が流通するようになったことや、飲食店で加熱不十分な調理方法によってヒツジ肉が提供されるようになったことで、クジラ肉やヒツジ肉に寄生する住肉胞子虫の関与が疑われる有症事例が都内で発生しています。
また、令和4年に青森県においてクリーピング症(皮膚爬行症)患者が多数発生し、患者の多くがシラウオを生食していたことが判明しました。同時期に都内においても同様の患者から顎口虫が検出され、シラウオを生食したことによる顎口虫の感染が疑われました。
このように畜水産物に寄生する寄生虫による健康被害がたびたび発生しており、そのリスクの現状を改めて評価することが重要です。本研究は、分子生物学的手法を用いて、ヒトに病原性を示す寄生虫の分類、同定、疫学解析を行うことにより、畜水産物を加熱不十分で喫食することによる公衆衛生上のリスクを評価することを目的として実施しています。
保健医療局
宮田吸虫メタセルカリア
(シラウオから検出)
ウエステルマン肺吸虫メタセルカリア
(サワガニから検出)
住肉胞子虫のシスト
(ヒツジ肉から検出)
畜産食品中コリスチンの分析法開発と残留実態調査
〇畜産食品中コリスチンの分析法開発と残留実態調査
令和6–7年度に、薬剤耐性対策として、抗生物質の「最後の砦」であるコリスチンの分析法を確立し、残留実態の把握による食の安全性確保とAMR対策に寄与する研究を実施しました。
- 既報では煩雑な前処理操作が必要な上、定量性に乏しいという課題がありましたが、コリスチンについて分析条件の最適化および前処理法の構築を行い、試験法を確立しました。
- 乳、牛肉、豚肉の計44検体について開発試験法を適用し、残留実態調査を実施した結果、いずれの検体からもコリスチンは検出されませんでした。この結果から、家畜にコリスチンが使用されていたとしても、適正に使用されていることが窺えました。
- 開発した試験法は、簡便な操作で高い精製効果を有しており、迅速かつ正確な定量が可能となりました。コリスチンの販売量は依然として多いことから、今後も残留実態調査を継続し、食の安全性確保および薬剤耐性対策の基礎データとして活用していく予定です。
保健医療局
食肉中アミノグリコシド系抗生物質の新規試験法開発
〇食肉中アミノグリコシド系抗生物質の新規試験法開発
令和6–8年度に、薬剤耐性対策の一環として、食肉中のアミノグリコシド系薬剤を正確に検査するための試験法開発に取り組んでいます。
- 極性が極めて高く分析が難しいアミノグリコシド系薬剤について、安定した分析が可能となる条件を確立しました。
- 牛肉、豚肉、鶏肉などの食肉を対象として、食品成分の影響を受けにくく、安定して分析可能な前処理法を確立し、より信頼性の高い検査が可能となりました。
- 食品中に残留する動物用医薬品の状況を的確に把握できる基盤が整い、食の安全確保および薬剤耐性対策への貢献が期待されます。
保健医療局
魚介類中水産用医薬品(色素系殺菌剤)の試験法開発
〇魚介類中水産用医薬品の試験法開発
令和6–8年度に、危害要因の把握および薬剤耐性対策の一環として、魚介類に残留する水産用医薬品の色素系殺菌剤を正確に検査するための試験法開発を行っています。
- 酸化還元反応により分析が難しい色素系殺菌剤について、測定時の変化を抑制が可能で、低濃度でも検出できる分析条件を確立しました。
- 脂質や加工成分が多く分析が困難なウナギのかば焼きを対象として、食品成分の影響を受けにくい抽出・精製条件の検討を行い、信頼性の高い試験法を構築しました。
- 食品中に残留する動物用医薬品の状況を的確に把握できる基盤が整い、食の安全確保および薬剤耐性対策への貢献が期待されます。
保健医療局