日本では食品を販売する場合、容器包装への日本語による表示を義務付けています。
表示の書き方にもそれぞれ細かい決まりがあります。
食品表示法で定められたルール(食品表示基準)に従い、表示事項の欠落や誤りがないように注意してください。
≪表示例≫この食品はA国で製造され、日本国内に輸入されたものです
≪各国ルールと異なる点で特に注意すべきポイント≫
①『アレルゲン表示』
日本では、食物アレルギーの原因となる食品の中で国が規定した食品を原材料等として使用した際、原材料名欄や添加物欄へのアレルゲン表示を義務付けています。使用原材料の二次原材料、三次原材料等に関する確認のほか、製造工程中の意図しない混入(コンタミネーション)の危険性についても併せて確認が必要です。また、添加物中に食物アレルギーの原因となる食品が含まれていることもあります。
各国でアレルゲン表示の義務対象となっている食品は異なりますので、注意してください(下表参照)。
アルコール飲料にはアレルギーの表示義務が義務付けられていません。
(表示方法)
原材料にアレルゲンがあるときは、原材料名のすぐ後にかっこ()をつけて、「□□□(〇〇〇を含む)」と表示します。アレルゲンが乳の時は、(乳成分を含む)と表示します。
添加物がアレルゲンに由来するときは、物質名のすぐ後にかっこ()をつけて、「■■■(〇〇〇由来)」と表示します。アレルゲンが乳由来のときは、(乳由来)と表示します。
(表示例)
原材料名 |
小麦粉、砂糖、マーガリン、チョコレートチップ(乳成分を含む)、卵、食塩 |
●日本でアレルゲン表示が義務とされている食品(8品目)
えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
●日本でアレルゲン表示が推奨されている食品(20品目)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
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グルテンフリー表示について |
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アメリカやEU等では、グルテン濃度20ppmを基準として「グルテンフリー」表示が可能です。一方、日本のアレルゲン表示は数ppm以上の小麦総たんぱく量を含む場合に、アレルゲン表示として「小麦を含む旨」の表示が必要です。「グルテンフリー」表示がされていても、含まれている小麦総たんぱく量によっては、小麦のアレルゲン表示が必要となるため、注意してください。 |
② 『アスパルテームを含む食品』
日本ではアスパルテームを含む食品に、容器包装への「L‐フェニルアラニン化合物を含む旨」の表示を義務付けています。
(表示例)
添加物 |
甘味料(アスパルテーム・L‐フェニルアラニン化合物) |
③ 『指定成分等含有食品』
日本では、コレウス・フォルスコリー、ドオウレン、プエラリア・ミリフィカ、ブラックコホシュを含む食品に、容器包装への「指定成分等含有食品である旨」等の表示を義務付けています。なお今後、他の食品成分等が追加される可能性があります。
(表示例)
名称 |
プエラリア・ミリフィカ粉末含有食品 |
原材料名 |
乳糖(国内製造)、プエラリア・ミリフィカ粉末、… |
添加物 |
加工デンプン(小麦由来)、セルロース、… |
内容量 |
10g |
賞味期限 |
20××.11.30 |
保存方法 |
直射日光、高温多湿を避けて保存 |
販売者 |
株式会社〇〇
東京都〇〇区〇〇1-2-3
03-0000-0000 |
製造所 |
株式会社□□
東京都□□市□□町1-2-3
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- 指定成分等含有食品(プエラリア・ミリフィカ)
- 指定成分等とは、食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物です。
- 体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談してください。加えて、体調に異変を感じた旨を表示された連絡先に連絡してください。
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食品衛生法第8条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する指定成分等 |
2024年2月5日時点 |
指定成分等の名称 |
流通時の別名 代表例 |
コレウス・フォルスコリー |
Coleus、Forskolin、Coleus forskohlii |
ドオウレン |
クサノオウ、ハックツサイ、ヨウシュクサノオウ、グレーターセランディン、Celandine、Greater celandine、Swallow-wort、Chelidonium majus |
プエラリア・ミリフィカ |
白ガウクルア、White Kwao Krua、Pueraria mirifica |
ブラックコホシュ |
ラケモサ、Black cohosh、Black snakeroot、Actaea racemosa |
④ 『期限表示・保存方法』
日本では開封する前の状態での食品の期限について、品質が急速に劣化する傷みやすい食品には「消費期限(過ぎたら食べない方が良い期限)」、それ以外の日持ちする食品には「賞味期限(おいしく食べることができる期限)」を、年月日の順番で原則期限表示欄に表示することを義務付けています。製造年月日ではありません。また、その期限を担保する保存方法を併せて記載する必要があります。
(輸入品でよくある不適正表示例)
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(正しい表示例)
賞味期限 |
20××年7月21日 |
保存方法 |
直射日光、高温多湿を避けて保存 |
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「賞味期限」又は「消費期限」という文言を冠して年月日の順番で表示します。
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西暦(YYYY.MM.DD) |
和暦 |
表示例 |
2025.07.21 |
令和6年7月21日 |
2025.7.21
令和6年7月21日
06.07.21 |
2026.07.21 |
令和7年7月21日 |
2026.7.21
令和7年7月21日
07.07.21 |
⑤ 『原材料・添加物』
日本では原材料と添加物を区分して、それぞれ原材料名欄、添加物欄に重量順で表示することを義務付けています。原則、原材料については一般的な名称を表示し、添加物については物質名を表示します。各国で表示方法が異なりますので、注意してください(下表参照)。
また、日本国内で販売する食品への使用が禁止されている添加物がありますので、食品衛生法を確認してください。
⑥『栄養成分表示』
日本では、名称・原材料名・添加物・賞味期限・保存方法などの表示のほかに、栄養成分表示を表示することを義務付けています。なお、水や香辛料などの栄養の供給源としての寄与が小さい食品や、消費税法や中小企業基本法で定められた基準を満たした小規模の事業者が販売する食品等は、栄養成分表示が省略できる場合があります。
● 栄養成分表示は、容器包装に日本語で表示します。輸入品に外国語で栄養成分表示がある場合も、食品表示基準に定められた方法により、改めて日本語で表示することが必要です。
(外国語の栄養成分表示例) |
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(日本語の栄養成分表示例) |
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外国語の栄養成分表示だけでは日本国内で販売できません!
● 栄養成分表示は表示事項として、「熱量」「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ナトリウム[食塩相当量に換算して表示]」の5項目が義務付けられ、必ずこの順番で表示します。なお、これら5項目の義務表示事項以外の栄養成分(カルシウムやビタミンCなど)を表示するときは、食塩相当量の下に表示するなど、別の表示方法がありますので確認が必要です。
外国の栄養成分表示の場合、ナトリウムは「ナトリウム量」で表示されていることがほとんどですが、日本の栄養成分表示は、ナトリウム量を食塩相当量に換算し、「食塩相当量」として表示する必要があります。
≪ナトリウムから食塩相当量への換算式≫ 食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1,000
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● 商品の容器包装に「ビタミンCたっぷり」や「シュガーレス」など、特定の栄養成分等について日本語で強調して表示する場合は「栄養強調表示」に該当し、定められた条件を満たす必要があります。輸入食品に外国語で表示があることを理由に、日本語でも同様の表示ができるわけではありません。栄養強調表示の基準を確認してください。
● 栄養成分表示を行う際は、根拠に基づいた値を表示することが必要です。輸入元に根拠を確認する、必要に応じて日本の食品成分の分析機関に検査を依頼するなど、適切な値を表示するようにしてください。
上記では特に注意すべき一部のルールについて説明しています。
表示の書き方については、これらのほかにも、各国と異なるルールがあります。
表示を作成する際には、必ず「食品表示基準」を確認してください。
≪表示作成時に確認すべき資料≫
野菜、肉、魚などの生鮮食品や、食品添加物を販売する際にも表示が必要となります。
また、食品の表示は、食品表示法だけでなく、景品表示法、計量法、JAS法、医薬品機器等法等の他法令に関係することがあります。併せて御確認ください。
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