
ライフステージが変わるにつれて、体とともに変化する、女性の「こころの健康」。こころの不調には、色々な対処法があるんです。セルフケアから相談窓口のことまで、わかりやすくご紹介します。

(監修)
一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長
大野 裕
- 時尾 マチコ (56歳)
おおらかでお茶目な四姉妹のお母さん。怒涛の子育てもひと段落。
- メグル (31歳)
しっかりもので少し天然なお姉さん。実家を出て彼氏と同棲中。
- ショーコ (28歳)
豪快な性格のキャリア女子。一人暮らしで不摂生しがち...?
- アスナ (24歳)
本を愛する書店員。実家暮らし。大人しめだが芯は強い。
- エイミ (20歳)
天真爛漫な末っ子大学生。実は一番空気が読める。
- 庭野 サユリ(43歳)
メグルの職場の頼れる先輩。不惑だって色々悩みは多いんです。


こころの健康って?

そもそも「こころの健康」って、どういうことをいうんだろう?

この4つが「こころの健康」の要素なんですって。
- ・自分の感情に気付き、それを表現できること(情緒的健康)
- ・その時々の状況に応じ適切に考え、問題解決ができること(知的健康)
- ・他の人や社会と建設的で良い関係を築けること(社会的健康)
- ・人生の目的や意義を見いだし、主体的に自分の人生を選択できること(人間的健康)

社会的健康に人間的健康…!その時の気持ちの浮き沈みだけじゃないんだね。

自分のこころの状態をチェックする方法ってあるのかな?落ち込んでるときって冷静に判断できない気がして…

何か指標があるといいよね。あ、このチェックを使うと、こころの健康の度合いが数値でわかるみたいだよ!

これなら簡単にできていいね。

今は大丈夫だったけど、こころの状態に自信がないときに活用したいな。
ストレスと上手く付き合う方法って?

日常生活でイライラやストレスを感じることって、どうしてもあるわよね。

あるあるだよ~。仕事とか人間関係とか、色んなことでストレス感じちゃう。

こころの健康のために、普段からできることってないのかな?感じるストレス自体を軽くできたらな~なんて…

それでいうと、日頃の気分転換はこころを軽くするセルフケアになるんだって。
- 気分転換の方法は人それぞれですが、以下の方法はいかがでしょうか。
◯ 散歩等で体を動かす◯ 楽しかった活動や、やりがいを感じた活動を
またやってみる◯ 部屋を掃除する◯ 植物を育てる◯ 親しい人と、さりげない会話をする◯ 思い切って明るい服を着たり、わざと笑顔を
つくったりしてみる◯ ぼんやり空を眺めたり、ゆっくり風呂に入っ
たり…あえて何もしない◯ ストレスの原因の解決に取り組んでみる


「3つのR」っていう気持ちを落ち着ける方法も聞いたことがあるわ。
- ・レスト(Rest):休息、休養、睡眠
- ・レクリエーション(Recreation):運動、旅行のような趣味娯楽や気晴らし
- ・リラックス(Relax):ストレッチ、音楽などのリラクセーション

これなら覚えやすいし、私も実践できそう!

「3つのR」以外にも、生活の中にやりがいを見つけたり、ちょっとしたことでも目標を立てて達成できたりすると、こころの健康に役立つんじゃないかな。

自分に合ったセルフケアをして、ストレスとうまく付き合っていきたいな。

他にも、規則正しい生活や、食事、運動、休養、睡眠、色んなところでストレスを軽くする工夫ができるみたいよ!
- ◯ 食事
バランスの良い食事は、こころの健康においても重要な基礎となります。詳しくは→ <食生活のこと Check3「今も未来も健康でいるための食生活って?」>
- ◯ 運動
運動は気分転換やストレス解消につながるため、こころの健康を保つ効果も期待できます。国は、18~64歳の男女に対して、生活習慣病や生活機能低下の予防のために1日8,000歩に相当する身体活動を推奨しています。・中強度以上の運動…速足で歩く、ジョギング、テニス、水泳、山登りなど・低強度の運動…ストレッチ、ヨガなど詳しくは→ とうきょう健康ステーション「身体活動・運動」
- ◯ 休養
疲労をためずに心身の健康を保つためには、適切な「休養」をとることが重要です。詳しくは→ とうきょう健康ステーション「休養」
- ◯ 睡眠
睡眠は心身のメンテナンスに欠かせない、大切な生活習慣です。睡眠が不足すると、心身の不調が起こりやすくなります。また、こころの健康が損なわれると、睡眠が不安定になることがあります。
日頃の生活にちょっとしたコツを取り入れることで、睡眠の質は上がります。【快眠のコツ】・休日の寝坊は控えめに。朝起きたら、カーテン全開で太陽光を浴びる・夕方以降はカフェインを避ける・寝る前にテレビやスマートフォンを見る習慣を見直す詳しくは→ とうきょう健康ステーション「眠り方改革してみませんか?」

ショーコ、忙しくてもごはんはちゃんと食べてね?

はーい汗

やっぱり身体とこころって直結してるんだね。

こうやって家族や友達とおしゃべりしたり、お互いに相談し合ったりするのも、いつも当たり前にしてるけどストレスを和らげてる気がする!

私もそう思う!そうすれば、落ち着いて問題に取り組むことができるようになるから。それに、一人で頑張り過ぎずに信頼できる人に相談することも、こころの健康のためには大切だよね。
女性ならではのこころの変化って?

こころの健康にも、女性ならではってことがあるのかな?

私、生理前はすぐに落ち込んだり、イライラしたりしちゃう…

年を重ねると、今度は閉経や更年期もあるし、振り回されることもあるわよね~。

それは、卵巣から分泌される「エストロゲン」と「プロゲステロン」という女性ホルモンが、排卵や月経をコントロールするだけじゃなくて、女性の心身に影響を与えることがあるからなんだって。

身体に変化を及ぼすだけじゃないんだ…!
- ・ある程度のイライラは、日常生活の中で誰もが体験する一般的な感情です。月経周期や妊娠・出産、更年期の影響でストレス耐性が下がり、イライラや不安などの感情を感じやすい場合があります。しかし、その程度がいつもと違うと感じたり、日常生活に支障が出てきたりしているときには、専門家に相談しましょう。
- ・女性のうつ病は、ライフイベント(結婚、妊娠・出産、育児、介護など)による 環境や役割、身体の変化がきっかけになることもあります。

やっぱり女性のこころにとって、身体や環境の変化はあなどれないわね。

お姉ちゃんの言う通りで、女性には、月経前不快気分障害(PMDD)、マタニティーブルー、妊娠期や産後うつ病などの周産期うつ病、更年期うつ病のような、女性特有のうつ病の症状が出ることもあるみたいだよ…

マタニティーブルー、私は大丈夫!って思っていたけどね~。そうもいかなかったことを思い出すわ…

私の友達も初めて出産したとき、眠れないし、赤ちゃんのお世話もあるしで、こころも身体も疲れちゃったって言ってたな。

「生理・妊婦・更年期だから」と見過ごしてしまわずに、不調が続くときはすぐに医師や保健師に相談したほうがいいね。最近は、産婦人科でもこころの健康に気を配ってるみたい。
→女性特有の心身の悩み、妊娠・出産に関する悩みの相談窓口はこちら
こころの不調が続くと?

つらい状態が続いてしまって、身体の調子や日常生活に支障があるとき、こころの病気っていう可能性もあるのかな。

誰でもなる可能性があるっていうものね。

「こころの病気」といっても、うつ病や双極症、不安症、強迫症、統合失調症など、さまざまな種類や症状があるみたい。きっかけもひとつには絞れなかったり、はっきりしないこともあるんだって。

ふむふむ、環境やストレスとか、色んな要因が関係するんだね。
- うつ病などのこころの病気(精神疾患)は、
- ・特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかる可能性があります。
- ・こころの不調だけでなく、身体的な不調も引き起こし、身体の病気を悪化させたりする恐れがあり、そのまま放置してしまうと、「死にたい」と考えるようになることもあります。
- ・心配や過労・ストレスが続いたり、孤独や孤立感が強くなったり、将来への希望が見い出せないと感じたりしたときなどにかかりやすくなります。
- ・こころの病気(精神疾患)は早期発見・早期治療が大切です。しかし、長く続くこともあり、その場合は辛抱強く治療することが大切です。
- ・こころの不調を感じたときには、「うつ病自己チェック」の結果なども参考に、一人で悩まず、地域の保健所・保健センターや医療機関(精神科、心療内科、かかりつけ医)などに相談しましょう。
- 1.毎日の生活に充実感がない
- 2.これまで楽しんでやれていたことが、楽しめなくなった
- 3.以前は楽にできていたことが、今ではおっくうに感じられる
- 4.自分が役にたつ人間だとは思えない
- 5.わけもなく疲れたような感じがする

「いつもと調子が違うな」と感じたら、大げさだと思わずに、誰かに相談するといいわよね。
落ち込んだり不安になったりしたときはどうする?

誰かに話したい、聞いてほしい、だけど誰に話したらいいかわからない、みたいなときはどうしたらいいんだろう。

今はこうやって気軽に話してるけど、家族や友人にも話せないくらいに悩んでしまうことも、あるわよね。

これ見て、悩み別に相談窓口が掲載されてるよ!

東京都には女性が抱える悩みに応じた様々な相談窓口があるんだね。悩んだときには活用していきたいね。


選択肢のひとつとして知っているだけでも、安心できる気がする。

こころの不調は自分ではなかなか気付かなかったりするから、周りの人が「いつもと違う」っていう変化に早めに気付けるといいわよね。

見てお母さん、ゲートキーパーっていう役割があるらしいよ!
- 自殺のリスクにつながるような悩みに①気づき、声を掛け、②話を聴き、③必要な支援につなげ、④ 見守る人のことをゲートキーパーと言います。ゲートキーパーに特別な資格は必要ありません。
- ①変化に気づいて声を掛ける
顔色が悪かったり、口数が少なかったり、いつもと様子が異なる人に対し、
「元気ないみたいだけど、何かあった?」「ちゃんと眠れてる?」などと声を掛けることが重要です。 - ②話を聴く
せる環境をつくって、相手の感情を否定せずに話を聴きましょう。
そして「大変だったね」「よく頑張ったね」など、ねぎらいの言葉を掛けましょう。 - ③必要な支援につなげる
相談に乗りながら、必要に応じて関連する相談窓口や支援事業について情報提供をしましょう。「○○の部署にも相談してみようか」と紹介したり、「○○時までは受付できそうだよ」と具体的なアクセス方法などを示したりするよう心掛けましょう。 - →相談窓口はこちら(東京都こころといのちのほっとナビ~ここナビ~)
- ④見守る
門機関につないだあとも、「いつでも相談に乗るよ」と、必要があれば相談に乗ることを伝えましょう。
軽い運動などのセルフケアを紹介するのも〇 - ゲートキーパー自身の健康管理について
集中して相談に乗ることは大変なことであり、ゲートキーパー自身の疲れを癒すことも大切です。相談終了後は意識して気持ちのクールダウンを行ってください。

へえ、まずは変化に気づいて声を掛けるといいのね。

いつもと様子が違う人に「最近口数が減っているみたいだけど、どうしたの?」と声を掛けてみる、と。心配なことを具体的に挙げるといいんだ。確かにつらいときって、心配して声掛けてもらえるとほっとするよね…

で、次は耳を傾ける。相手の感情を否定せずに話を聴いて、ねぎらいの言葉を掛ける…相手を思うあまり色々言っちゃいそうになっても、ここは寄り添うことがポイントね。

その上で、問題をどうするか一緒に考えていくのね。

必要な支援につなぐのもゲートキーパーの役割だそうよ。

一緒に相談窓口に行ったり、代わりに相談の予約をしたりするといいんだ。

最後は、温かく見守る、だって!

専門機関につないだあとも、必要があれば相談に乗ることを伝える…そうよね、つないで終わりじゃなくて、見守ってるってことが伝わると、相手も少し安心できそうよね。

あ、ゲートキーパーって特別な資格は必要ないんだ!私も自分に余裕があるときは健康管理に気をつけながら、誰かの変化に気づいて支えられるといいな。

あら、末っ子頼もしいじゃん!

えへへ
おわりに

何歳になってもこころの健康は大切で、特に女性はホルモンバランスとか身体との関係も大きい、ってことだね。

私も知らなかったことがたくさんあって、勉強になったわ~。

無理せず、周りの人や病院、窓口にも頼っていきたいな。

おいしいごはんに運動、睡眠も大事だし。

自分のこころのこと、自分でいたわってあげられるといいよね。

身体だけじゃなくて、こころも健康第一だね!