お酒に含まれる、「酔い」などの効果をもたらす物質がアルコールです。アルコールには神経をマヒさせる働きがあり、少量なら気持ちをリラックスさせるなどの作用もありますが、適量を超えると記憶をなくしたり、時には呼吸中枢のマヒによって死に至るようなこともあります。
過度な飲酒が続くことで、肝障害、膵炎や糖尿病、心疾患、高血圧、胃腸障害、がんなど体の問題が起こりやすくなるだけでなく、睡眠障害やうつ病といったこころの問題を招くおそれもあります。
一般的に女性は、男性に比べて少ない飲酒量で肝臓などの臓器への影響が出やすかったりアルコール依存症になりやすいなど、飲酒による健康問題を起こしやすいと言われています。さらに、妊娠している女性、これから妊娠を予定している女性は、飲酒による胎児への影響を考える必要があります。妊婦の飲酒は、胎児性アルコール症候群や胎児の発育障害を招くおそれがあります。また、授乳中の女性が飲酒すると母乳にアルコールが移行するため、乳児の健康に影響を及ぼします。
未成年者は、成人に比べてアルコール分解能力が低く、心身ともにアルコールの影響を受けやすいことから、飲酒は禁じられています。
この他、過度の飲酒は、飲酒している本人の健康だけでなく、暴力や虐待といった形で周囲の人にも影響を及ぼすことがあります。特に、飲酒運転の問題は大きな社会問題となっています。
健康に悪影響を及ぼすことのないお酒の適量は、飲んだお酒の量ではなく、飲んだお酒に含まれる純アルコール量を基準として考えます。1日当たりの純アルコール摂取量が、成人男性で40g以上、成人女性で20g以上の飲酒を続けていると、さまざまな健康問題のリスクが高まると言われています。
しかし、この量を超えて飲酒している20歳以上の都民は、平成28年の東京都の調査では男性18.9%、女性15.4%となっており、女性は平成24年と比較して増加しています。
純アルコール量は、酒の種類やブレンドの仕方などによってさまざまですが、たとえば、ビール中瓶1本(500ml)に含まれる純アルコールは約20gです。その他、清酒1合(180ml)に約22g、ワイン1杯(120ml)に約12g、25度の焼酎では1合(180ml)に約36g、ウイスキーやブランデーはダブル(60ml)で約20gの純アルコールが含まれています。
<主な酒類の純アルコール量換算の目安>
お酒の害はわかっているけれども、「つきあいで酒席を断ることができない」「いきなり禁酒は難しい」などということはあるかもしれません。以下のような点に気をつけて、上手にお酒とつきあっていくようにしましょう。
1)適量飲酒にする
通常のアルコール代謝能を有する日本人における「節度ある適度な飲酒」の量は、1日平均純アルコールで約20g程度とされています。上記の酒類別の純アルコール量を参考にして、1日に飲む量を調節しましょう。
水やお茶を一緒に注文したり、おつまみや食事を食べながら飲むなどしてお酒を飲むペースを落としてみてはいかがでしょう。
2)休肝日をつくる
週に何日かはお酒を飲まない日を設けて、肝臓などの臓器を休ませましょう。まずは週1日から始め、できれば連続して2日以上の休肝日を目指しましょう。
3)女性は男性より注意を
男性に比べて少ない飲酒量で健康影響を受けやすいので、注意しましょう。
4)未成年者の飲酒はNO!
本人が気をつけるのはもちろんですが、周りの大人がしっかり見守ることが大切です。
5)妊娠中や授乳中の女性の飲酒もNO!
アルコールは、胎児や乳児の健康に影響を及ぼします。妊娠中や授乳中の女性、また、これから妊娠しようとしている女性は、飲酒しないようにしましょう。
お酒に対する強さ(アルコールの代謝能力)は人それぞれ。自分にとっての適度な飲酒ペースを知っておくことも必要でしょう。
また、飲めない人や飲まない人には「お酒を無理にすすめない」といった社会全体の雰囲気づくりもとても重要です。禁酒や適度な飲酒量を守るためには、周囲の理解や支援が強い味方になります。
アルコール依存症治療の専門家である(独)国立病院機構 久里浜医療センターの瀧村先生に、上手なお酒との付き合い方について教えていただきました。記事はこちらからお読みいただけます。
このページの担当は 保健政策部 健康推進課 健康推進担当 です。